腎臓病の何がいけないの?基本を知って腎臓を守ろう

腎臓は、体内の老廃物や余分な水分をろ過し、尿として排出する重要な臓器です。また、血圧の調整、赤血球の産生、骨の生成などにも関与しています。この重要な機能を担う腎臓の機能が低下すると、全身にさまざまな不都合が生じるのです。この記事では、なぜ腎臓病になるのか、どんな治療を行うのか、分かりやすく解説します。
なぜ腎臓病になるのか
腎臓病の中でも慢性腎不全は、腎臓の機能がゆっくりと、しかし確実に低下していく病気です。自覚症状が出にくいため、気づかないうちに進行しているケースも少なくありません。
<腎臓病のリスクが高い人>
・高齢者 ・生活習慣病(糖尿病、高血圧、脂質異常症など)がある方 ・メタボリックシンドロームの方 ・家族に腎臓病の人がいる方 ・喫煙者 ・過去に心臓病や急性腎不全になったことがある方 |
これらのリスク要因、特に糖尿病や高血圧といった生活習慣病、そしてメタボリックシンドロームに共通するのは、血管にダメージを与えるという点です。
例えば、糖尿病は高血糖状態が続くことで、腎臓の細い血管が傷つき、本来の働きができなくなります。また、高血圧は血管に常に高い圧力がかかるため、腎臓の血管が硬くなり、機能が低下してしまうのです。これらの病気が引き起こす血管への負担が、長い時間をかけて腎臓の機能を蝕み、慢性腎不全へとつながっていくと考えられています。
腎臓病の怖さとは
急性腎不全は腎機能が回復する可能性がありますが、慢性腎不全は残念ながら進行性で、一度失われた機能が回復することはほとんどありません。さらに厄介なのは、腎臓の機能が半分(50%)に以下に低下しても自覚症状がないことが多い点です。つまり、症状が出たときには、すでにかなり進行していることが多いのです。
腎臓病が進行すると、最終的には体内の老廃物を除去するために透析療法(血液透析や腹膜透析)や腎臓移植が必要になる可能性が高まります。これらは日常生活に大きな影響を及ぼし、生活の質を大きく変えてしまう治療です。
また、腎臓病は単に腎臓だけの問題にとどまりません。近年、腎臓病が脳卒中や心筋梗塞といった命に関わる重大な病気の発症リスクを高めることが報告されています。これが「たかが腎臓病」と軽く見てはいけない理由です。
参考サイト:https://www.kyowakirin.co.jp/ckd/about_ckd/ckd2.html
腎臓病の治療方法
腎臓病の治療(保存期)には、主に薬物療法と食事療法があります。中でも食事療法は腎臓の機能を保存するために、重要な治療法となります。
たんぱく質制限
たんぱく質は体を作る大切な栄養素ですが、過剰摂取は腎臓に負担をかけます。そのため、ステージや体重によってたんぱく質量を定めます。
ステージ | たんぱく質量(標準体重kg/日) |
ステージ1~2 | 1.3gを超えない |
ステージ3a | 0.8g~1.0g |
ステージ3b | 0.6g~0.8g |
ステージ4 | 0.6g~0.8g |
ステージ5 | 0.6g~0.8g |
塩分制限
塩分は血圧上昇の原因となるため、1日3g~6g未満に制限します。
エネルギー確保
エネルギーが不足すると体内のたんぱく質を分解してしまうため、十分なエネルギー確保が必要となります。基本は25~35kal×標準体重(kg)を目安とします。
カリウム・リン・水分制限
ステージや症状に合わせて、カリウムやリン、水分制限が行われます。服用中の薬や個人の状態によって異なるため、医師や管理栄養士の指示に従いましょう。
早期発見・治療で腎臓の機能を守ろう
腎臓は「沈黙の臓器」と呼ばれるほど症状が出にくく、気づいたときは腎臓病が進行している可能性が高くなります。だからこそ、定期的な健康診断で早期に異常を発見すること、そして日頃から健康的な食事を心がけることが極めて重要です。